下田富士

家の窓からそれはそれは分かりやすく尖った三角の山が見える。

 

ほんとの名前は忘れたけど、富士山の形に似てるから下田富士ってゆうらしい。山だから、畳に座ったままでも見える。家から山が見えるのはおもろい。

立ち上がると斜めに公園が見えて、子供の声が聞こえる。河津桜がちょうど満開である。その手前に工事用の車庫みたいなのがあってそれが結構朝早くから稼働するもんだからすこし気になる。

 

この家のものは全部わたしが持ち込んだもので、全部にわたしの意志が入ってて、それってかなり愛着が湧く。ハサミとか、洗剤とか、本だって、家電だって全部が仲間に見えてきて自然と言ってきますとただいまをいってる。一人暮らしってこうなってしまうんだなと感じてる。植物なんて、わたし以外に生きてるものがいると思えるだけで心強い。

 

今は、畳に日があたってる場所に足を伸ばして布団を畳んで壁に寄せてそこによっかかってこれやってる。和室もいいなあ。山と川に囲まれて、少し行けば海があって、不便も多いけどいいところだなあ。

 

だけどやっぱりなんか家族と住んでる時とは明らかに守られてる、恵まれてる感はない。わたしが用意しなくたって当たり前にある家の仕上がり、勝手に咲いてる庭の花、凝ったものを作りたくなった時にも困らない調味料。あぁこれが一人暮らしか、何をしたってしなくたって何も言われないけど、なんだって自分で用意しなくちゃ家に物は増えない。それをしみじみと感じております。

 

昨日やっとちっちゃいテーブルを買ったので、それが届いたらようやく段ボールを捨てられるかな

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